筋筋膜性疼痛症候群…「坐骨神経痛」「ヘルニア」に手術は必要か?

「筋筋膜性疼痛症候群」
なかなか耳にしない病名ですが、整形外科、接骨院などでお目にかかる骨格筋の痛みの大半を占めるものです。 骨格筋は体重の60%程度を占める人体最大の組織です。以前話題になった「繊維筋痛症」とは違います。

「筋筋膜性疼痛症候群」をものすごく簡単に言えば、急激な外力、不良姿勢、反復動作により筋肉の繊維が損傷をおこし、その損傷部位から神経が「痛み」と反応するような物質が放出されます。それを神経の末端のセンサーが感じ取り、脳へ「痛み」として伝達されます。すると筋肉は縮まり、凝り固まります。それによって引き起こされる症状のことです。

これを少しだけ詳しく言えば、

筋肉の微細損傷が起きる

発痛物質が出る

神経がそれを感じ取る

脳が「痛み」と感じ、交感神経の緊張がおきる

交感神経が緊張すれば毛細血管が収縮する

筋肉への血流が少なくなり低栄養、低酸素状態になる

筋肉が持続的な収縮をおこす

そしてまた新たな微細損傷を引き起こし、やがて損傷部は組織変化を起こし「硬結」や「しこり」と呼ばれるようなものになる

筋肉内にこういうものが存在することにより交感神経はより精度を高め、普段では感知しないほどの筋繊維の損傷を見つけ、それを脳に報告する

脳は防御体制に入り、いっそう筋肉を収縮させる

その筋肉の関連する他の筋肉にも収縮を誘発させる

この悪循環が繰り返されます。

ここで大事なことは、「痛み」だけではなく、精神的なストレスによっても交感神経は緊張するということです。むしろ、そちらの方の比率が高いようです。
だから治療家は早めの手当てを勧めます。肉体的な損傷も、聞いてもらうだけで気が晴れる精神的なものも。

たとえば頚椎からきていると言われた手の痺れ、それ以外は何の症状も無く、言われるままに首の手術をしたが、いまだに残っているのは手の痺れだけ。これは前腕の筋の短縮によるものがほとんどを占めます。
なぜ、罹患部位を無視して神経根にまでさかのぼり過剰な処置をするのでしょうか。

そして坐骨神経痛、これなどは典型的な例で、昔はヘルニアの圧迫のためによる神経痛と解釈されていましたが、これこそが大殿筋、中殿筋、小殿筋の筋筋膜性症候群だと言われています。ほとんどは小殿筋の損傷(損傷による収縮)と考えてもよさそうなものです。
関連痛(関連痛のメカニズムはいまだ諸説あり)により、下肢の決まった筋肉に痛みが出現します。

以前は、これが坐骨神経の走路に類似していたために神経痛と認識されていたようです。
損傷による筋収縮ですから、適切なマッサージとストレッチによりほとんどは改善すると思われます。

他のページに記しましたが、「椎間板ヘルニアの痛みはヘルニア自体が問題ではない、その痛みは筋肉の短縮によるものである」

椎間板ヘルニアによる痛みに手術は必要なのか?

患者さんは大病院の、しかもMRIの画像を前にして見解を述べる医師の言葉を100%信じます。私が説明しても、けげんな表情で信用してもらえないことも多々あります。ここまで日本の医療の洗脳は進んでいます。

しかし、生理学を専門とする学者の研究結果『ヘルニアが神経根を圧迫しても痛みは起きない』を、臨床医がいつまでも無視できるとは思えません。
苦し紛れに最近、神経根を押さえても痛みは出ないが、神経根の炎症により、神経痛が発生するとの発表がありましたが、感染症でない限り神経根に炎症がおこることはありません。あるとすれば、神経根の深さまで刺し込む神経ブロックの時でしょう。

整形の医師はいろいろしがらみがあり、他の考え方をすることをどうやら禁じられているようです。
では、いつ頃どのような形で診療方針を改めるのか、それとも、腰や首のヘルニアの手術をやめれば格段に収入が減るので、聞かないことにしてやり続けるのでしょうか?
この病名をつけてしまうと「坐骨神経痛を治すためのヘルニアの手術」という名目が失われてしまうからでしょうか?
まぁ、それは大病院にはいろんなご都合もおありの事と思われますが。

あと数年で「坐骨神経痛」という言葉は消えてしまうかもしれません。
その頃になって、私の受けた手術は何のためだったのか、いまだに残っている手術前と変わらない痛みと痺れは何なのか、と後悔しないためにも、的確な判断のできる、また、治療のできる治療家の情報を見極めることが大切なことだと思います。

坐骨神経痛、ヘルニアなどと診断され、手術を勧められ悩んでおられる方は、急いで切る必要はありません。
たかだか接骨院の言うことが信用できるかと言われる方には、もっと詳しく説明して下さり、痛みを確実に取ってくださる整形外科の先生(この問題には以前より日本の整形医のありかたを疑問視されていた)も紹介してさし上げます。
とにかく、無意味な事はしないに越したことはありません。手術を勧められた方、「後悔先に立たず」、と言う言葉もありますよ。  

ここまで書くと業界からクレームが付くかもしれませんから、あくまでも個人的な意見としておきます。

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