「椎間板ヘルニア」は椎間板の中の髄核が飛び出し神経を圧迫している状態を指す病名です。 
近来、医療技術や研究の進歩により、ひと昔習ってきたことが覆されるようなことがよくあります。典型的な例で「椎間板ヘルニアによる痛み」、がそうです。

今、整形外科の分野で二つの考え方が論じられています。ひとつは椎間板ヘルニアによる腰痛や臀部、大腿、下腿の痛みやしびれは椎間板の中の核の脱出による神経の圧迫や、その圧迫された神経根の炎症によるものとの説。(ついこの間、圧迫によるためではなく、神経根の炎症であるとの発表がある)

病院でレントゲン写真やMRI画像を指差し、「その痛みと足のしびれは、ここで神経が圧迫されているのが原因です、これを手術で取らなければ治りません。」と、言う先生は、どうしても以前に教わったその説を継承せねばとそれを信じて疑いもしないのでしょう。
それならば、なぜ、「リハビリで改善しなかったら手術です。」と言いつつ腰椎牽引(だいたい30kg~45kg。肉眼的にレントゲンやその他の映像で腰椎の間隔の広がりを確認できるのは100kg近く、それくらいで引っ張ればへたをすれば骨折や肩関節の脱臼もありうる。)電気治療を行うのでしょうか?
その治療はあくまでも筋肉などの軟部組織に対しての治療であり、骨や軟骨(椎間板)に影響を与えるものではないことはその先生が十分に知っておられるはずだと思うのですが・・・?

さらに言えば、腰椎牽引や電気治療で治癒した場合、その先生は今なお存在しているヘルニアをどう説明されるのでしょうか?「良くなってよかったですね、でも、次に痛くなったときは手術ですからね。」とでも言ってごまかされるおつもりなのでしょうか?  

もうひとつは、神経自体は圧迫を受けても麻痺の生じる可能性はあっても痛み自体はおきない、健常者の腰をMRIで検査すると高齢者の約50%以上で椎間板の膨隆や脱出があり、当然ながら健常者なので痛みを感じてはいない。
と、いうことは椎間板ヘルニアで痛みは出ない、神経根の圧迫や炎症による下肢の痛みやしびれは生理学上説明がつかず、その痛みはその部分の筋肉の微細損傷により生じた筋硬結による痛み(筋筋膜性疼痛症候群、MPS)である。という説。

ヘルニアが神経根を圧迫していることによる刺激によっての痛みである、と、漠然的に教えられた者にとっては信じがたい事です。
しかし、いわれてみれば確かに、病院で勧められ、手術はしたのに下肢の痛みやしびれが残っている、ともすれば手術前よりひどくなった、という患者さんを見かけることも事実です。

私個人の意見としては後者の説が理屈に合うと思いますが、いずれにせよ、あと少しで本態が明確になるでしょう。
ちなみに、近年アメリカで椎間板ヘルニアの診断を受けた10万人の患者で手術を余儀なくされた人は45~90人前後、(患者の有益にはならないのでヘルニアの手術はやめてしまおう、という大学もあるそうです)イギリスなどは10人程度といわれています。そしてその数はどんどん少なくなっているそうです。

なぜ、日本だけがお祭り騒ぎの如く増える?