「寝違え」 簡単な病名?です。
起床時にすでに首の痛みを覚えることもあれば、昼ごろになって段々と痛みが増してきて、しまいには首を動かすこともできなくなる、寝ている時の妙な首のねじり具合によるのが原因、まぁ、こんなところです。

首が痛い、とおいでる患者さんは多いです。

「いつ頃からか忘れたけれど、かなり前から痛くなっていた。レントゲン、MRIを撮り、何番目かの頚椎の間が狭くなっていると指摘された。あまり動かさないようにと言われた。そのうち肩から背中まで痛くなってきた。今では寝ていても痛みで目が覚める。」

これは一番多く聞くパターンですが、これを聞けば何だか頚椎が悪いように聞こえますが、それには全く根拠がありません。
おお昔の教科書で勉強した先生にかかると、根拠が無くてもそのせいにされます。

ところで、なぜ痛みが広がるのか、痛みの程度が増すのでしょうか。その原因は・・・「安静」です。
痛いから動かせないし、また、医師に「動かしてはいけない」と言われます。
痛みのある筋肉はすでにこわばっています。安静にするとそのこわばっている筋肉はもとより、その筋肉に隣接する筋肉や、その隣接する筋肉に、さらに隣接している筋肉までこわばり、どんどん範囲が広がります。しかし、患者さんにしてみたら、動かすと何かがどうにかなるんじゃないかと、危なくて動かせない。

もしかしてイメージとして、中学生の頃に理科室で見た背骨の模型を思い出し、その骨の角に紐の様にまとわり付く神経が擦れたり骨と骨の間に挟まったりするような光景を、想像力豊かに思い描いておられる方もあるかと思います。

大変残念ながら、神経はそんなに簡単に擦れたり、挟まりません。
・・・というのもありますが、それ以前に神経は擦れても押さえても痛みやしびれを出す組織ではありません。
神経が触って痛い、圧迫されると痛む、などとは、生理学の先生には理解に苦しまれるところでしょうが、なぜか臨床の先生方だけは患者さんへの説明を手っ取り早く済ませるために、そういうことにされているみたいです。
この辺の考え方で2~3日で治るはずだった痛みが、その後の人生を変えるくらいの大事になったりもします。

とにかく、「首が痛い」とおっしゃる方が痛いのは、たいがい「僧帽筋」の首と肩の境目で、これは単純に僧帽筋が原因であり、頭を動かすと肩甲骨から背中付近まで嫌な痛みが響くのは、「肩甲挙筋」が原因です。

特に高齢の方は、痛みにびっくりして、首に力を入れ、肩をすぼめるように固まった姿勢にされるため、ビクとも首が動かないほどに筋肉を硬直させ一気にこじらせることもよくあります。ここまでくると首が痛いのか背中が痛いのか、本人もわからないと思います。


「Clinical massage」James H.clay/David M.pounds著・医道の日本社刊

「トリガーポイントと筋筋膜療法マニュアル」Dimitrios Kostopoulos & konstantine Rizopoulos著・医道の日本社刊

・・・まぁ、とにかく早めに治療すれば何とも無いようなものですが、所によるととんでもない病名(後縦靭帯云々、頚椎椎間板ヘルニ・・・)を付けられ、それゆえとんでもない治療(手術)を受けさせられるはめになることもありますので、ある意味どこを受診するかは患者さんの持っている運次第とも言えます。

そして、これはごく稀ではありますが、首の違和感や凝りに加え、指の細かい動きが出来なくなる、足が地に着いていないようで歩きにくい、などの症状があれば「頚髄症」の疑いがかかりますので、そのときはすぐに大きな病院を受診されることをお勧めします。早い話、このような症状が無ければ、安心ということです。