「坐骨」、椅子に座ったときに当たるお尻のずんぐりと尖った骨です。
背骨の尻尾の尾骨ではありません。構造上、尾骨は椅子には触れません。

よく坐骨が痛いとおいでる方も見受けますが、骨が痛いわけではありません。その部分に被さっている筋肉、「大殿筋」の痛みです。ちょうどお尻と大腿の境です。
ここまでかけ離れた場所(坐骨部)でも腰が痛い、腰の神経か?などと言う患者さんは多いようです。触ってみて、押さえてみてどこが痛いのでしょうか?

とにかく下半身の痛みならすべて腰が原因、などと人々に洗脳したのはいったい、いつからなのでしょうか?誰が初めに言い出したことなのでしょうか?
昔の古い頭のお医者さん同士だけの話で済ませておけばいいものを、一般のかたぎの人にまで広めたせいで今日の間違いだらけの家庭の医学の知識がはびこっているわけです。

坐骨部が痛いなどと訴えると、お尻のできものか、椎間板ヘルニアかということになります。そうそうお尻にできものがあって痛みがある人は接骨院は受診されませんが、病院でヘルニアと診断されてうちへおいでる方は結構います。
ヘルニアでなぜお尻が痛くなるかは、そう診断された医師に聞いてみてください。たぶん、「神経がそこを通っているからです」と、不機嫌そうな顔で答えが返ってくるか、ともすれば、「そこが坐骨の場所です、だから坐骨神経痛というくらいですから」などと、逆ギレ的にぶっ飛んだ説明でお年寄りを煙に巻く先生もおいでるかもしれません。

以前から言っていますが、椎間板ヘルニアは痛みの原因にはなりえません筋肉がその場所で痛みを出す状態に陥ってしまっただけなのです。

尖った坐骨と椅子の間で大殿筋がジンワリと押しつぶされて筋線維が傷んだり、(外国ではバックポケット坐骨神経痛症候群などと、日常的にお尻のポケットに札入れを入れていて起きる痛みを言います)荷物を抱えてしゃがんだ姿勢から立った時の急激なその部位の筋収縮の結果から来る痛みです。

結構、お尻の筋肉はデリケートです。

・・・と、言ったところが接骨院の言う事、テレビや雑誌で権威のあるドクターが昔の教科書を暗唱すればそちらが本筋になります。
しかし、さすがに最近の「ヘルニア=腰痛」が間違いだということが少しずつ知られるようになってきたことを受け、整形外科学会は『単なる老化現象による骨の変形などがさもその腰痛の原因であるように言って患者を不安にさせてはいけない・・・』なるような整形外科医向けのガイドラインを先日発表されましたが、そんなことはどこ吹く風でいままでどおり、不安のどん底にお導きくださいます。

しかし、この世には手術の好きな患者さんも結構おられます。
「手っ取り早く治したいから軟骨とか骨を削ってくる」、だそうです。削るほうもいかがかと思いますが・・・
これだけは本人の好みですることなので、特に言うことはありません、が、手術後、半年もしないのに同じ患部が痛くなり治療することに少しは矛盾を感じてもらいたいものです

前回と今では痛みの原因が違う、と思っておられるかも知れませんが、残念ながら同じです。筋肉が痛みの発信源です。軟骨や骨は関係ございません。

わずかな筋線維や筋膜の傷ですら悩ましい痛みになるのに、その筋肉や見当違いの筋肉まで大きく切り開き、骨まで到達します。消えることの無い大きな筋損傷を負うことが「手っ取り早い」とは、その後の人生を考えるととても思えません。
ましてや、そんなことに疑いも持たずに2度、3度と同じことを繰り返しておられる方、いいかげん目を覚まさないと、いつまでも寝ぼけたままではお体、もちませんよ。


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